六世紀中頃以降、熊本県の菊池川流域などで横穴墓入口の外壁に浮彫が流行する。山鹿市の鍋田横穴墓群や長岩横穴墓群で、人物・剣・靱・鞆・刀子・盾・馬などを入口外壁に、玄室奥壁に連続三角文の線刻などがみられる。浮彫にも赤の彩色を施すものがある。こうした浮彫は熊本県に多く、南の人吉から北の菊池川流域まで広く分布する。福岡県など北部九州は、中間市瀬戸一四号横穴墓の奥壁に浮彫、赤の彩色の騎馬人物・舟・日・月・鳥・獣・格子目などを描いている。豊前および周辺部は、横穴墓だけではなく横穴式石室にも線刻の幾何学文や鳥・木の葉・魚なども描いているものが多くみられる。