井尻川上流域は、馬ヶ岳の北側山麓である。舌状低丘陵が襞(ひだ)のように北方向に延び、各丘陵上に一〇~一五基の古墳群が形成されている。その中で片峰(御峰)古墳群中に一基、片峰一号前方後円墳が造営されている。舌状丘陵の尾根筋よりやや西側寄りに斜面肩部を利用して石室を低い位置に構築し、盛土を少なくする工法を用いており、未調査で内部主体が明らかではないが、六世紀後半に比定できよう。
片峰一号前方後円墳の東側山頂部に、一基単独の小円墳が築かれている。京都平野を一望できる標高八〇メートルに築かれる古寺ノ上(ふるでらのうえ)古墳は、径一二メートルの円墳で背後に周溝を巡らす。単室の横穴式石室で、天井部を平坦にし、柱石を立て、玄室と区分している。七世紀前半に比定される。