古墳時代の人の服装は、人物埴輪(はにわ)などからうかがい知ることができる。埴輪は葬送儀礼を再現したものが多く、必ずしも日常の姿を表現したものではないと考えられるが、ここでは一般的にみられるものをあげることにする。
男性の衣服は上下に分かれており、上衣は衣(きぬ)、下衣は褌(はかま)である。衣は筒袖のついた腰下くらいまでの長さのもので、裾が広がっており、前面で左衽(さじん)にあわせて上下二ヵ所を紐(ひも)で結ぶ。胴の上くらいのところで帯をつけている。褌は太いズボンのようなもので、膝(ひざ)の下あたりで、脚結(あゆい)と呼ばれる紐を巻いて結んでいる。髪形は、前面の中央で髪を左右に分けた美豆良(みずら)である。
女性の衣服も上下に分かれており、上衣は衣、下衣は裳(も)である。衣は男性と同様のもので、裳は長いスカート状のものである。髪形は、頭上で一つに束ねた髪を島田髷ふうに大きく結って髷の中央を紐で結んでおり、櫛をさすものもある(図88)。
装身具としては、金属製のピアス状の耳飾り、管玉や勾玉を主体とする首飾り、貝製・金属製の腕輪や玉を連ねた手首玉などの腕飾りがある。また、身分によっては頭に冠(かんむり)や帽子をかぶっているものもある。