渡築紫遺跡C区では、住居の中から滑石製の勾玉形および子持ち勾玉形模造品や、土製の鏡形模造品が出土している(写真12)。中には、かまどの付近から見つかったものもあり、かまどや火に対するまつりと考えられる。
代遺跡Ⅱ-c地区でも、滑石製および土製勾玉形模造品や、土製丸玉が出土している(写真13)。付近には鍛冶炉(かじろ)と見られる遺構があり、鍛冶や火に関するまつりと考えられる。
二つの遺跡は、いずれも当時の海岸に近接していたと考えられ、飯蛸壺形土器や漁網用の棒状土錘といった漁撈具が出土していることから、火に対してだけではなく、海や川、または漁に関する祭りでもあると言えるかもしれない。