埴輪

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 弥生時代後期に、吉備(きび)地方(現在の岡山県および広島県東部)を中心に分布した特殊器台形土器や特殊壺形土器と呼ばれる遺物が、徐々に型式変化して墳墓に供献され、やがて畿内で前方後円墳が築造され始めると、その墳丘に立て並べられるようになった。これが埴輪である。特殊器台形土器から円筒埴輪が、また、特殊器台形土器に壺をのせた姿から朝顔形埴輪が、それぞれ変化したものと考えられている(図89)。
 
図89 特殊器台形土器から埴輪へ
図89 特殊器台形土器から埴輪へ(1/20)
1:立坂型,2:向木見型,3:宮山型,4:都月坂1号墳出土

 埴輪の種類は、のちに、大刀(たち)・盾(たて)・蓋(きぬがさ)・翳(さしば)・家・柵形を呈した形象埴輪、武人や巫女(みこ)などを形取った人物埴輪、馬や水鳥を表した動物埴輪などが現れ、また、石や木でできたものもある。
 行橋市内では、稲童古墳群・竹並遺跡・八雷古墳から埴輪が出土している。八雷古墳出土の人物埴輪は、高さ三三・六センチメートル、胴部幅一四・三センチメートルで、頭部には冑(かぶと)の痕跡が、また、胴部には甲(よろい)の表現が見られる(写真14)。
 
写真14 八雷古墳出土人物埴輪
写真14 八雷古墳出土人物埴輪

 築上郡大平村の下唐原大久保遺跡からは、埴輪窯二基が確認されている(写真15)。九州では三例目という貴重な遺跡である。この窯跡からは、家・人物・蓋などを形取った埴輪が見つかっている(写真16)。
 
写真15 下唐原大久保遺跡埴輪窯
写真15 下唐原大久保遺跡埴輪窯

 
写真16 下唐原大久保遺跡出土埴輪
写真16 下唐原大久保遺跡出土埴輪