鉄は、鉄鉱石や砂鉄を木炭などで還元することによってつくり出される(図91)。弥生時代以来、中国大陸・朝鮮半島から輸入した鉄を加工して、鉄器を製作していた。五世紀前半になると、大分県臼杵(うすき)市下山古墳などのように、古墳に鉄鋌(ねりがね)という撥(ばち)形の鉄素材を副葬するようになることなどから、朝鮮半島南部から鉄鋌を輸入して、鍛冶を行っていたと考えられている(写真18)。
そして、精錬に必要な木炭を大量に生産した炭窯の年代から五世紀末頃までには鉄の国内生産が開始され、その際にできる精錬滓(さい)の量が増える六世紀中頃には鉄生産が本格化したと考えられている。