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 塩は、人が生きてゆくためには、なくてはならないものである。海に囲まれた日本では、土器の中で、濃縮した海水を煮詰めて、塩の結晶をとるという独特の方法が発達した、と考えられている(図92)。
 
図92 九州における製塩土器の変遷図
図92 九州における製塩土器の変遷図

 この土器による製塩は、①海水の塩分濃度を高め、濃縮した鹹水(かんすい)を取り出し(採鹹)、②その鹹水を土器に入れ、煮沸して塩の結晶を得る(煎熬(せんごう))ものである。
 周防灘沿岸では、北九州市葛原B遺跡・勝円遺跡C地点で、製塩土器が出土している。