玉には、勾玉・管玉・切子玉・棗(なつめ)玉・丸玉・小玉などの種類があり、原材料は石・ガラス・金属などである。中でも石の種類は多く、翡翠(ひすい)・緑色凝灰岩・琥珀(こはく)・瑪瑙(めのう)・滑石・水晶・碧玉などがある(写真19)。
翡翠の原産地は、新潟県糸魚川(いといがわ)市・西頸城(くびき)郡青海(おうみ)町周辺であり、勾玉に利用されることが多く、稲童古墳群でも出土している。緑色凝灰岩については、管玉に使用されることが多く、北陸地方に原産地がある。
また、出雲(いずも)の玉造(たまつくり)地方では玉類が大量に生産され、西日本各地へと搬出された。
行橋市内の渡築紫遺跡C区の集落では、滑石製の勾玉形および子持勾玉形模造品が出土しており、六世紀後半から七世紀初頭には、集落内で製造していたことも考えられる(写真20)。また、これらの遺物は扁平で、沖ノ島一号遺跡の出土遺物と似ているものもあり、その関連が注目される。