①今川条里区
今川の旧流路右岸に一里程度の条里地割が検出される。方位は、北七度東である。坪付小字名は、流末に「一ノ坪」と「三十六」があるのみであるが、両者が隣接することから、六通りの坪並が考えられる。日野は、西北隅を一ノ坪、東北隅を三六ノ坪とする千鳥式の可能性が高いとしている。
②大野井・津熊条里区
北は、長峡川の旧流路、西は、今川の旧流路、南は、一部今川の旧流路、東は、日野が想定する旧海岸線によって、限られた条里区である。方位は、北一四度西である。坪並は、西北隅を一ノ坪、東北隅を三六ノ坪とする千鳥式の可能性が高い。日野105が奈良時代に存在したとする豊前国府と刈田駅を直結する駅路は、里界線となる。
③続命院・本庄条里区
犀川町の今川の流域に沿って分布する五里程度の条里地割である。方位は、北三九・五度東で、坪並は、西南隅を一ノ坪、西北隅を三六ノ坪とする千鳥式である。
④高屋条里区
高屋川の流域に沿って分布するもので、方位は、北六度西である。本庄に小字「四ノ坪」、下高屋に小字「一ツ町」があるのみで、坪並の復原は不可能である。
⑤柳瀬条里区
今川の両岸に、北四三度東の断片的な条里地割が検出されるが、坪付小字名は検出されない。
⑥崎山条里区
今川の最上流域の条里地割で、局地的なものといえる。方位は、北三四度東で、坪付小字名としては、崎山に「三ツ町」、「四ノ坪」、「五ノ坪」があり、三通りの坪並が考えられる。
⑦木井馬場条里区
祓川の上流域である木井馬場から寺門にかけて北六度東の方位をもつ局地的な条里地割で、坪付小字名は存在しない。
⑧犬丸条里区
犬丸付近の祓川両岸に、北五〇度東の方位をもつ局地的な条里地割が検出される。坪付小字名は存在しない。
⑨仲津条里区
祓川の中流域にある節丸から、下流域の真菰付近にかけて、南北に細長く分布する仲津郡最大の条里地割である。方位は、北三三度東であるが、地域によって偏位が認められる。坪並は、西北隅を一ノ坪、西南隅を三六ノ坪とする千鳥式である。坪並と条・里の進行が一致していた場合には、少なくとも条は六条、里は一六里からなっていたことが確実である。なお、国府から築城駅へ向かう駅路が、里の界線と一致するので、駅路が条里プランの基準線であったことがわかる。
⑩羽根木条里区
羽根木付近に菱形の条里地割が検出されるが、坪付小字名は存在しない。