古代瓦の製作には、桶型・木型が使用された。「桶巻(おけま)き作り」は軒平瓦の製作方法である。「模骨(もこつ)」と呼ばれる桶型を用いる。平瓦の製作方法の一つで、四枚の瓦を同時に作り出すものであった。なかには、明日香村の川原(かわはら)寺のように円筒を三分割してつくられたものもある。四枚づくりは大量生産の方法に思われるが、不都合があった。当時の平瓦一枚の大きさは、縦四〇センチメートル以上、横幅三〇センチメートル以上のものであった。この四枚分の総重量は乾燥後でも一六キロを超えた。重い粘土を取り扱う作業には熟練を要したため、大量生産には不向きであったのである。
後に、かまぼこ型の成形台を用いる簡便な「一枚作り」へと変っていった(図56)。