鴟尾のルーツは、古代の中国の時代にある。「とびのお」とも読む。寺院や宮殿建築などの大棟(おおむね)両端を高くして際立たせている装飾であり、「しゃちほこ」や「鬼瓦」のルーツとされる。鴟尾の形態は、鳥とも魚ともつかない、尾が反り返るような構造になっている。
ちなみに奈良県の唐招提寺には、奈良時代の鴟尾が今なお金堂の大棟に残っている。鴟尾の多くは瓦製のもので、瓦製作技法と類似したものである。須恵質の製作技法による焼き方のものもある。椿市廃寺出土の鴟尾は百済系のものと推定される。船迫瓦窯跡群では、瓦窯兼用の「堂がへり2号窯」より、百済系の蓮文様が入った鴟尾が出土している。瓦生産技術と須恵器生産技術は相互に深く関わっていたことを窺わせている。