終末期古墳の多くは、南を意識して築造されている。墳丘立地、石室入口方向、墳墓の配置などには、風水(ふうすい)思想が背景にあるとされる。前代の終末期古墳の選地にみえる風水思想が、このような歴史時代の火葬墓の選地にも窺える。
風水とは、寺院・都市・墳墓・住居・集落などの立地選択の方法・占いの術のこと。人と環境との関係を解釈するノウハウともされる。このような風水術が六世紀末前後に我が国に流入したようである。
風水の語源は晋(しん)の郭璞(かくはく)に仮託(かたく)される『葬書』(『葬経』とも)の中の句に由来するという。
葬は生気に乗るなり。(中略)経に曰く、気は風に乗らば則ち散じ、水に界さるれば則ち止まる。古人はこれを聚目て散ぜざらしめ、これを行かせるも止まること有らしむ。故にこれを風水と謂う。風水の法、水を得るを上と為し、風を蔵するはこれに次ぐ。