現行の神社神道の淵源は遠く先史時代の自然崇拝にまでさかのぼる。以後、古墳時代を経て七~八世紀の飛鳥・奈良時代に至って神社建築が出現するまでの期間を原始神道期と位置づけられる。原始信仰祭祀(さいし)を考古学上から認定する資料は、当時信仰の対象となった標的物、または祭祀が行われた場所および祭器具類である。すなわち祭祀遺跡と祭祀遺物である。神道考古学の創始者である故大場磐雄氏は祭祀遺跡を内容によってつぎの五種に分類している。
①自然物を対象とするもの 山嶽、厳石、島嶼、湖沼・池泉
②古社の境内ならびに関係地
③住居跡付属地
④古墳付属地
⑤単独遺物発見地
なお、遺跡によっては以上のうちの二者ないし三者を併有する場合も少なくない。