古墳付属祭祀

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 古墳は本来死者を埋葬する場所であるが、その際に有縁の人びとによる祭祀を行なったとみられる祭祀遺物が発見される場合がある。その出土状態には棺・石室の中から発見される事例と、外部(高塚封土中)から発見される事例がある。行橋市近隣地域でも、田川市伊田・セスドノ古墳の石室内から滑石臼玉二五六個・滑石有孔平玉一個が発見された。また京都郡苅田町の箱式石棺から滑石勾玉二個・滑石臼玉一三九個が発見された。古墳封土中から発見された事例では京都郡勝山町一の塚古墳の墳丘内から土師器片・土製鏡一・同勾玉三・同丸玉三三がある。
 行橋市域では下稗田検地・箱式石棺から滑石剣形品一・同有孔円板二・同臼玉一六〇以上が発見された。また椿市福丸古墳玄室から陶馬胴部一が発見されているが、封土中から混入した疑いもある。
 一般に五世紀頃までは滑石製品が主体であり、六世紀以降になると次第に土製模造品と交代してゆく傾向がみられる。行橋市周辺でも古墳祭祀ではほぼあい似た傾向があるものの、住居祭祀では上述したように、滑石製子持勾玉が七世紀近くまで使用されていて、これが特異な事例になるのかどうか今後の事例増加に待ちたい。