第一章 中世行橋市域における歴史的動向

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 本章においては、行橋市域における総体的な歴史動向を時系列に沿いながら、そのおおよそを示すことに主眼を置く。史料の集中する個別具体的な地域の詳細は第二章に譲り、まずは通史的な立場から、京都平野の動向を位置づけていくこととする。
 総説でも述べたごとく、京都平野は肥沃な平野という側面ばかりでなく、河川・海上・陸上のいずれにおいても交通の結節点として機能し、豊前一国内でも重要な地域を構成していた。古代編で詳述された要衝としての性格は、中世においても一貫して不変であり、ゆえに周辺に比べ遙かに多くの文書・記録が残されているのである。その逐一には触れないが、とりわけ重要な動きに絞って行橋市域の中世史を示していきたい。