五月田・六月田・霜月田

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 神社では各月の月初め・朔日に祭りを行う(ついたちまつり)。したがって月の名前を冠せられた田は、その神事にあてる田であったといえる。大野井には隣接して五月田・六月田がある。五月田は一日祭ではなく、節供田(五月五日田)かもしれない。五月田はサツキダという人もゴガツダという人もいる。村にはカイサクと呼ばれる田植え前の神事や、また早苗(さな)ぶりがあった。梅雨のことを五月雨というのは今の六月(梅雨期)が旧暦の五月に当たるからである。カイサクに当たるものが五月祭りか。霜月田は一年の収穫が終わった感謝祭も兼ねたか。
 市内には大野井に隣接する上検地に八月田(上八月田と八月田)、下検地には四月田があった。行事に六月田(みなづきでん)、草野に九月田(ながつきでん)、中津熊・下津熊に五月田、下崎に六月田、周辺域では京都郡新津(苅田町)に霜月田がある。各神社はそれぞれ各月朔日祭の経費を負担する祭祀田を所有していた。村ごとにその各神事費用に充てる田が設定されていた。村には共有田、村人全体のための田が多くあった。