3 馬場村後(ばばむらご)遺跡(行橋市大字馬場字村後ほか)

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 古代・中世・近世にまたがる集落遺跡。この遺跡で大半を占めるのは、近世の遺構・遺物である。
 圃(ほ)場整備事業に伴い発掘調査された集落遺跡。調査面積は七〇〇〇平方メートルで、調査期間は平成一五(二〇〇三)年一二月から平成一六(二〇〇四)年三月まで。調査主体は行橋市教育委員会。主要遺構・遺物は以下のとおり。
 
古墳時代遺構柱穴群、溝
古墳時代遺物土師器、須恵器
中世遺構掘立柱建物跡、柱穴群、溝、井戸
中世遺物輸入陶磁器、銭貨(大観通宝)
近世遺構井戸(一〇基前後)、掘立柱建物跡、柱穴群、溝
近世遺物土師器、近世陶磁器、瓦、煙管、石臼、五輪塔、銭貨など

 遺跡は元永地区との境に接する。馬場地区の集落の北端に位置し、標高六メートル前後の水田地帯に広がる。調査範囲内には、流路跡、川原石が分布し、河川氾濫原跡に集落が営まれていたと考えられる。
 中世の遺構は、掘立柱建物跡、井戸、柱穴群を主体に検出されている。宋銭が柱穴から出土している。出土した大観通宝は、中国の徽宗の時代・一一〇七年(大観元年)が初鋳という宋銭である。近世集落遺構・遺物としては、井戸は石組み構造で、平面形が円形を呈し、石材は人頭大の川原石を組み合わせたものを主体としている。近世の遺物は、近世陶磁器、土師器類は、擂鉢、染付碗、皿、土師質火鉢など日常生活用具で多岐にわたる。平安時代末から鎌倉時代初め一二世紀前後以降に現在の馬場地区集落付近が生活空間として利用されていたことを窺わせる。祓川流域の集落分布を考察する上で参考になる遺跡である。
 
写真4 馬場村後遺跡全景(上空より)
写真4 馬場村後遺跡全景(上空より)