9 内屋敷(うちやしき)遺跡(行橋市大字津積字内屋敷)

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 御所ヶ岳(ホトギ山)から北にのびる台地上に立地する。昭和六二年に津積地区の農業基盤整備事業にともない調査された。
 北側のA地区と三五〇メートルほど隔てた南側のB地区に分かれ、弥生時代と古墳時代の集落を主体とする遺跡である。
 A地区の中世遺構には、住居跡一軒、掘立柱建物跡一棟、二条の溝と若干の土坑などがある。
 住居跡は三・九八メートル×三・六四メートルのほぼ正方形で柱穴はない。出土した石塔、備前甕などから一五世紀頃のものと考えられている。掘立柱建物跡は一二世紀頃のものと推定される。
 一・八八メートル×〇・七一メートルの長方形の土坑からは多量の炭化米が出土し、一四世紀頃の貯蔵用竪穴と推定される。他の二基の土坑からは越州窯系白磁片、龍泉窯系青磁片や平瓦片、備前焼の鉢が出土し、一二世紀と一五世紀のものと位置付けられている。
 一号溝と二号溝からは越州窯系白磁、備前焼大甕、瓦質土器、土師皿、平瓦などが出土し、いずれも一五世紀のものとされる。
 B地区では土壙墓一基が検出された。土壙墓は一・四メートル×〇・八メートルほどのやや短めの長方形プランである。短刀一振、越州窯系の白磁碗一、土師皿四が副葬品として埋葬され、一一世紀末から一二世紀初頭のものである。
 
図10 B地区 土壙墓実測図
図10 B地区 土壙墓実測図

図11 B地区 土壙墓出土品
図11 B地区 土壙墓出土品
  図10、11 『内屋敷遺跡』より