12 前田山(まえだやま)遺跡(行橋市大字前田・大字上検地)

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 主として弥生時代から古墳時代にかけての大規模な遺跡で、住宅団地造成にともない昭和五二年から五三年にかけて二三万平方メートルが調査された。
 中世の遺構としてはⅠ-6区の低丘陵に営まれた墓地がある。この墓地は丘陵上の平坦面にあり浅い円形の竪穴に甕あるいは鉢形の土器を埋置したものが七基検出された。
 七基のうち六基は瓦質土器で、7号甕棺のみ備前焼である。最も小型の4号甕棺は口径二七・七センチメートル、器高三三・八センチメートル。最大の7号甕棺は口径三七センチメートル、器高六三・四センチメートルで、いずれも成人をそのまま埋葬できるサイズではない。3号甕棺からは、三~四歳の幼児の人骨が採取されているが、火葬骨の出土は報告されていない。
 墓地が営まれたのは、7号の備前甕の年代から一二世紀頃と推定される。
 
図12 中世墓地群遺構配置図
図12 中世墓地群遺構配置図

図13 出土甕棺実測図
図13 出土甕棺実測図
『前田山遺跡』より