小笠原長時の流浪

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 松尾小笠原氏は一時、信濃守護として威勢を張ったが、深志小笠原氏の当主が小笠原長棟の頃になると、松尾小笠原は圧倒され、深志の方が戦国大名として発展してゆく。長棟の跡は長時が相続した。
 しかし、天文一九年(一五五〇)七月、甲斐の武田信玄に深志を奪われ、幾度か奪還を試みるもうまく運ばなかった。結局、小笠原長時は長尾景虎(上杉謙信)や伊勢御師、三好長慶などを頼って、諸国流浪の内に一生を終えることとなる。彼の存命中に子の貞慶は旧領奪還を実現するが、深志への帰郷を目前にして、長時は家臣に殺害された。