これは、「四公六民」、すなわち四〇%を税とし六〇%を農民の作徳(収入)とするという原則にのっとったものという(旧租)。先に説明したように、京枡物成は、小倉枡で収納していた年貢を、単に京枡に換算したものである。枡の大きさがどのようであれ、延米などの付加税を含む現実の年貢高が京枡物成である。税率は四〇%が原則であるから、京枡物成が石高の四〇%と考えれば、例2に示すように、これをもとに四つ高を計算できる。年貢高が一〇〇石の村が四つ成であれば、村高は二五〇石となるが、小倉枡による賦課税込みの物成高から京枡物成を計算し、これを元に計算した四つ高は三一五石余となる。これをもとに算出する高掛物は、物成には応じていることにはなるが当然割高になってくる。したがって、四つ高は増税の一手だてということもできよう。
例2 年貢が100石で4つ成の村の「村高」と「4つ高」 | ||||
(単位:石) | ||||
年貢高 | 村高① | 小倉枡の物成② | 京枡の物成③ | 四つ高④ |
100 | 250 | 130.733 | 126.0402687 | 315.1006718 |
注 | ①年貢は村高の40%だから、年貢高の100を0.4で割れば「村高」の250石が計算できる。 |
②付加税1石につき3斗7合3勺2才8弗に2弗を加えて、年貢高を130石733に繰り上げて計算する。 | |
③小倉枡に0.96410446264余を掛けて算出する。 | |
④京枡物成の10分の4が4つ高だから、京枡物成の126石0402687を0.4で割れば、「四つ高」315石1006718が計算できる(本文中に記すように、村高に1.260402687を乗じても算出できる)。 | |
『郡典私志』P.18より作成 |
なお、「旧租」には、京都・仲津両郡の四つ高は、それぞれ三万六二六五石二斗八升八合五勺、四万八四六石一斗一升八合七勺と記している。同書には京都郡の石高は三万一四三五石一斗三升五合四勺、仲津郡は三万六二〇二石三斗六升五升八合とも記しているので、これを一として仮に倍率を計算すると、京都郡の四つ高は石高の約一・一五倍、仲津郡は約一・一三となり、先の計算例一・二六倍に比べ四つ高の倍率がかなり低くなる。その理由は、現時点では四つ高の計算法が変更になったという記録は見つからないことから、「旧租」の石高と四つ高はそれぞれ違う時代の数値ではないかと推定される。つまり、右の四つ高が算出された時代の両郡石高は、荒地が増大する等の事情によって、右の石高よりもかなり減少していたのではないだろうか。