商活動への課税

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《酒屋運上》 酒屋運上は酒造業に対する営業税である。酒は米を原料とするため幕府の締め付けがきびしく、凶作年には規定の三分一や半分、場合によっては生産中止さえ命じられることがあり、基準となる酒造高も時代によってたびたび変更された。天明八年の酒造株は、表6に示すように、小倉町が酒造株七七三・五石、六郡が同六七五・〇四石の定めで、酒造株一石につき二〇石の酒が生産できた。しかし、天保一三年の場合は、小倉町が株数の七・六倍の五八九七石余、六郡が八倍の五四〇〇石であり、大幅な生産減少を示している。
 
表6 酒造高と運上銀
酒造人の居住地酒造人酒造株天明8天保13運上銀
元禄14天明8天保13 酒造米倍率酒造米凡そ高倍率元禄141人平均天保131人平均
(人)(人)(人)(石)(石)1(石)2(匁)(匁)(匁)(匁)
小倉町92324773.5015,470.00205,897.747.630,9303,43712,040502
6郡468080675.0413,500.80205,400.008.019,0704156,88086
総郡551031041,448.5428,970.802011,297.747.850,00090918,920182
「豊前旧租要略」(『福岡県史資料』第9輯P.692、第8輯P.593-595)より作成

《その他の運上》 農村や魚村の小商業や工業に対する課税としては、「郡典」に、塩商札運上は二匁五分(曽根村は五分)、魚商札運上は三匁(漁人浦は一匁)と記す程度しか分かっていない。財政難に悩んだ小倉藩も、他藩同様に、薬種店、焼物店、鋳物店、蝋締船、油締船、打綿、水車、藍瓶、唐物、穀物仲買、各種の振売(行商)、山中通、各種の仲買や問屋などにも運上を課したと考えられるが、詳細は今後の研究にゆだねられている。