小物成

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 田畑農作物のうち、米・大麦・小麦と大豆・小豆は、本途物成と称する年貢の対象にされた。これ以外の産物や収穫物については、小物成と称する雑税が掛けられた。大庄屋中村平左衛門が編纂した農政参考書『郡典私志』には、小物成に関して次のように説明されている。
 
御郡地の事ハ年貢地の外、山野・海辺等ニ生立し物を伐取り、又ハ耕作の外ハ少の余業にも、すべて運上の出る御法也

 
 すなわち、生活の糧になる産物には、それが自然に生育しているものであっても、課税の対象にされたのである。そして小物成の場合は、現物の代わりに米や銀・銭で徴収されるものもある。『豊前旧租要略』はこの小物成を、「薪札」と「諸種」の二種類に分けているが、後者の中に栗代・真綿代・漆代などがあげられており、代金額の目安は、栗は銀一匁が栗六升、漆は同一匁が漆二〇目、真綿は同一五匁が真綿一〇〇目に相当する。