豊前海に面する行橋地域では漁業も盛んであった。蓑島、沓尾、長井、稲童が漁業集落であるが、これら地域では、エビ、イカ、チヌ(クロダイ)などが定置網や繰網漁によって獲られた。漁獲物は三軒の魚問屋が経営する蓑島と行橋の魚市場を通じて京都郡内だけでなく、田川郡の産炭地にも出回った。大正、昭和期に入ると、動力漁船が導入されたり、クルマエビや海苔などの養殖あるいは採貝活動が活発になるなど、漁業活動は多様化した。しかし、行橋地域の漁業は全体として規模が小さく、低生産性を免れることはなかった。
漁業