二 封建的規制の撤廃

45 ~ 46 / 840ページ
 維新政府は中央集権化を推し進めていく一方で、徳川幕藩体制下の様々な封建的規制を廃止するなど、次々に政治的経済的改革を推進していった。
 まず、それまでの士農工商やえた・非人という身分制が廃止され、「四民平等」が実現した。維新政府はこれまでの身分制を改め、公卿や諸侯(旧藩主)などを華族、武士などを士族、農工商やえた・非人身分を平民、という三つの族籍に区分することとした。平民にも苗字が認められ、士族の切捨て御免の禁止、華族・士族・平民間の通婚の許可などの措置がとられ、族籍間の人格的不平等は制度的にはなくなった。
 移転や職業の自由も認められた。すなわち関所の廃止(明治二年三月)や他府県への寄留・旅行鑑札制度の廃止(明治四年九月)、宗門人別帳の廃止(同年一一月)などによって、移転は事実上自由になった。職業選択の自由もえた・非人の職業差別廃止(明治四年一〇月)や華士族の農工商業の営業許可(昭和五年一月)、農民の商業営業の許可(同年一〇月)によって認められたのである。また、株仲間の解散や冥加金の廃止が実施され、営業の自由が認められた。さらに、田畑勝手作が許可され、土地永代売買禁止が解禁されて近代的な土地所有権も認められることになった。