大正一五年の地方制度改革

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 大正一五年に、画期的な地方制度改革が行われた。まず町村の強い要望であった郡役所が廃止された。また、市会や町村会の制限つき等級選挙制度も廃止され、年齢二五歳以上の男子で、二年以上その市町村の住民であれば選挙権が与えられた。さらに、地方財政制度も改正され、地方自治体の財政基盤が多少とも強化された。すなわち、県税であった戸数割が市町村に委譲され、その代替財源として県税家屋税が新設されたほか、府県税において所得税付加税率の増率などが実現した。
 これらの改革は自由と平等を求める大正デモクラシー運動の成果であった。しかし、これら一連の改革と同時に治安維持法が施行された。自治の拡大が言論や思想、結社の自由を抑圧する治安維持法とともに実現したことは、大正デモクラシー運動の限界を示すものでもあった。