表16 行橋信用組合の理事・監事 | (単位:円) | ||
氏名 | 役職 | 職業など | 営業所得 |
肥田源太郎 | 組合長 | 酒醸造業、地主 | 4,278 |
福島八三郎 | 専務 | 文具商、地主 | 180 |
桑野定五郎 | 理事 | 石炭商 | 1,894 |
富士本龍之助 | 理事 | 醤油醸造業 | 1,423 |
木村鉄太郎 | 理事 | ||
山本紋治 | 理事 | 酒醸造業 | 3,796 |
米原七兵衛 | 理事 | 地主 | |
竹内鉄三 | 理事 | 陶器商 | 2,850 |
松浦彦郎 | 理事 | 呉服商 | 5,340 |
井上平治 | 理事 | 履物商 | 1,026 |
小柳六根太郎 | 理事 | 麺類製造 | 1,580 |
大池千太郎 | 理事 | 醤油醸造業、地主 | 2,019 |
橋本新次郎 | 理事 | 旅館 | 1,000 |
森淵宣寛 | 理事 | 農業 | |
樽野豊吉 | 理事 | 駅売り | 1,215 |
亀山清太郎 | 監事 | 肥料商 | 1,210 |
玉井美知穂 | 監事 | 醤油醸造、地主 | |
尾形千三郎 | 監事 | 薬種商、地主 | 640 |
肥田五郎 | 監事 | 酒醸造業、地主 | 3,770 |
白川栄治 | 監事 | 煙草、雑貨、地主 | 630 |
出典:行橋信用組合「昭和二年事業報告書」 | |||
職業、所得は「昭和二年度営業ヨリ生スル所得調査」 |
同組合の業況を表17によって見よう。組合員数は順調に増加し、昭和一四年には創立時の二倍を超えた。この段階においても商工業者が多く、組合員全体の五〇%(八〇四人)を占め、農業者は二五%(四〇二人)を占めるに過ぎなかった。この組合員数は県下でも有数であったが、それ以上に同組合の貯金、貸付金規模は農村の信用組合としては県下一、二の規模であった。
表17 行橋信用購買販売組合の組合員数・諸勘定 | ||||||
(単位:人,千円) | ||||||
項目 | 昭和2年 | 昭和6年 | 昭和8年 | 昭和10年 | 昭和12年 | 昭和14年 |
組合員数 | 700 | 999 | 1,029 | 1,235 | 1,385 | 1,608 |
有価証券 | - | 3 | 7 | 106 | 155 | 317 |
預け金 | 35 | 192 | 336 | 191 | 413 | 791 |
貸付金 | 82 | 351 | 333 | 439 | 502 | 519 |
当座貯金貸越 | 15 | 119 | 129 | 147 | 150 | 154 |
出資金 | 49 | 55 | 60 | 62 | 64 | 75 |
準備金 | 1 | 9 | 15 | 20 | 25 | 30 |
貯金 | 90 | 561 | 723 | 833 | 1,183 | 1,854 |
借入金 | - | 44 | 36 | 14 | 22 | 18 |
剰余金 | 3 | 8 | 10 | 9 | 10 | 10 |
出典:行橋信用購買販売組合「業務報告」各年度 |
その貯金、貸付金の趨勢を見ると、昭和六年頃まで貯金貸越を含む貸付金は大きく増加したが、以後次第に停滞している。昭和恐慌期に貸付金が伸びたのは資金調達に苦しんでいた小商工業者の資金需要のためであったと考えられ、昭和一〇年以降の減少は経済統制の進展とともに小商工業者の資金需要が減少していったことを示しているといっていい。一方、貯金は一貫して順調に増加し、昭和一〇年以降になると同組合は貯金吸収機関化していることがわかる。貸付金の停滞によって生じた多額の余裕金は預け金や有価証券に振り向けられていった。
購買販売事業の状況を見ると、表18に示したようになる。米穀の受託販売高は昭和八年にピークを迎え、金額にして二八万円を記録した。昭和六年には販売高は県下信用組合で最も多かったことが、『業務報告書』に報告されている。農家組合員の米穀はほとんどが同組合を通じて販売されたと思われるが、販売量そのものは次第に落ち込んでいる。旱魃などの影響があったとされているが、戦争の影響も徐々に出始めたのではないかと考えられる。購買事業は専ら肥料の購買である。順調に増加しているものの、これも経済統制の影響を受けて次第に入手困難となっていったようである。
表18 行橋信用購買販売組合の購買・販売事業 | ||||
年次 | 受託販売高 | 購買 | ||
米 | 小麦 | |||
円 | 俵 | 俵 | 円 | |
昭和6年 | 192,167 | 22,431 | 6,282 | - |
昭和8年 | 281,826 | 26,900 | 6,429 | 20,299 |
昭和10年 | 219,007 | 14,955 | 7,689 | 42,201 |
昭和12年 | 180,554 | 9,294 | 6,411 | 46,751 |
昭和14年 | 144,829 | 11,613 | 6,485 | 60,350 |
出典:行橋信用購買販売組合「事業報告書」 |