戦時期の商業

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 わが国は昭和一〇年頃に長い不況から脱したが、地方にその影響が及びだした頃、政府は日中戦争の遂行のために経済統制を次第に強め、昭和一三年には人的・物的資源を戦争のために総動員する国家総動員法が制定された。国家総動員体制に基づく経済統制によって、商業は大打撃を受けた。様々な生活用品の生産は必要最小限に抑えられ、「奢侈品等製造販売規則」によって宝石や絹製品などは製造禁止になった。そして、終には配給制になって自由な商業活動の余地はほぼなくなってしまった。
 商業者の一部は配給所の末端機構に組み入れられて配給業務に従事したが、多くは廃業を事実上強要されたり、徴兵されなかったとしても勤労報国隊に加入して軍需工業で働くことを余儀なくされたりして、都市の多くの商店街は廃墟同然であったという。行橋でどのように配給組織が形成され、どのように商業者が動員されていったかについての資料が残されていないが、同様の事態が進行したのではないかと考えられる。