第八十七国立銀行の設立

158 ~ 158 / 840ページ
 第八十七国立銀行は明治一一年一一月、資本金八万円で創立された。設立に中心的な役割を担ったのは柏木黙二ら大橋・行事の商人・地主と旧豊津藩士族の斎藤美知彦、八隅正名、清水可正、松田和七郎、恩田吉信らであったと言われている。どのような人々が出資したのかは明らかではないが、明治一六年の株主を地域別に見ると、豊津藩士が主として在住していた仲津郡が株主の六五%、出資額の六一%占めていた。ここから、士族の金録公債出資を中心に旧藩の有力商人が加わって設立されたと考えられよう。
 初代頭取には柏木黙二(第六代勘八郎)、支配人には斎藤美知彦が就任した。他の役員は明らかではないが、明治一七年以降の役員は表39のとおりであった。明治一〇年代の役員は柏木黙二以外旧豊津藩士族であり、同行は旧士族によって経営されたことがわかる。
 
表39 第八十七国立銀行役員の変遷
役職明治17年7月明治19年12月明治22年12月明治24年12月明治32年明治34年7月明治35年7月
頭取柏木黙二斎藤美知彦清水可正守永勝助守永勝助上村延寿高瀬九三治
副頭取  斎藤美知彦    
取締役斎藤美知彦八隅正名八隅正名清水可正小沢武雄佐々木正懋上村延寿
取締役清水可正大束昌興大束昌興佐々木正懋熊谷直候柏木勘八郎佐々木正懋
取締役八隅正名松田和七郎佐々木正懋熊谷直候守永久吉福島甚六柏木勘八郎
取締役大束昌興福興慶茂長野盛徳守永久吉上村延寿 長野盛徳
取締役   神崎徳蔵   
取締役   中村五平   
監査役    佐々木正懋長野盛徳原口大成
監査役    長野盛徳高瀬九三治唐生惟義
監査役    高瀬九三治赤沢昌行土方兵次郎
支配人斎藤美知彦恩田吉信恩田吉信神崎岩蔵上村延寿  
出典:「営業報告書」、「福岡日日新聞」