電気事業の始まり

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 わが国最初の電気事業は、明治一六年(一八八三)に設立され、二〇年に電灯供給を開始した東京電灯会社である。二〇年代前半には神戸・大阪・京都などの大都市に次々に電灯会社が設立され、九州でも二四年には熊本電灯が開業した。
 電灯は文明開化の象徴の一つとして歓迎され、三〇年代になると地方有力都市にも普及するようになった。福岡県では、明治三〇年の博多電灯を皮切りに、若松電灯、小倉電灯、大阪電灯門司支店などが創立され、また三六年には大分県の京都電灯中津支店も開業した。
 こうした状況を背景に、行橋電灯株式会社は明治四三年五月一三日に設立許可を得、四四年五月六日に開業した。行橋電灯株式会社(以下、行橋電灯)に関する史料は、北九州市立いのちのたび博物館寄託の柏木文書の中に「行橋電灯会社書類」があり、その多くは山内公二「行橋電灯株式会社の発展経過を見る」(『合本美夜古文化』第二集)に紹介されている。主としてこの資料によりながら、行橋電灯の設立と経営を見よう。