全農福佐京築地区委員会

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 共産党系左派の全農福佐京築地区委員会の京都郡における組織人員は、昭和八年一一月現在で、二支部一地区委員会の一五七人である(表1参照)。中心的な在地活動家は、丸山元平や高橋武種であった。
 
表1 福岡県京都郡における農民組合(1933年11月末現在)
(1)全国農民組合福佐連合会京築地区委員会(1地区委員会・2支部157人)
支部名創立年月日主幹者支部員数事務所所在地
黒田1927.10.19小松福蔵35黒田村黒田
箕田1927.11.27島田友七10久保村箕田
地区委員会1933.1.3高橋武種112今川村流末
(2)全国農民組合福岡県連合会京築委員会(4支部・125人)
支部名創立年月日主幹者支部員数事務所所在地
節丸1933.12.25落合久生30豊津村豊津
行橋町1932.5.10出口武一郎30行橋町
今元村1932.5.10堀本芳松40今元村金屋
羽根木1929.12.23上原仁太郎25泉村羽根木
(3)日本農民組合九州同盟会豊前連合会(39支部・583人)
支部名創立年月日主幹者支部員数事務所所在地
宮市1926.9.3中村清六36行橋町宮市
元永1928.3.1上野良蔵7今元村元永
崎野1928.3.3有松喜七17泉村崎野
惣社1928.4.2竹本徳平10祓郷村惣社
宝山1928.4.12宮坂蔵人4今川村宝山
二崎1928.6.3山中久市17小波瀬村二崎
新津1928.6.3久富喜寿17小波瀬村新津
与原1928.6.5高城多七郎15小波瀬村与原
片島1928.6.7田中梅太郎19延永村長音寺
大野井1928.10.25島田勘次郎9今川村大野井
下検地1928.11.2長岡英勝29稗田村下検地
南原1928.11.8浦野角次7苅田町南原
道場寺1928.12.8村上治郎兵衛20仲津村道場寺
久富1928.12.12井無田信□5犀川村久富
寺畔1929.3.5西村□太郎7今川村寺畔
上検地1929.□.2馬場含人19稗田村上検地
福原1929.8.10宇土繁松7泉村福原
福冨1929.8.14吉武繁太郎10泉村福冨
草場1929.10.1迫田岩松19祓郷村草場
国作1929.10.1石本市三郎17祓郷村国作
竹並1929.10.8村上十三月19泉村竹並
葛川1929.11.7竹田乙吉9白川村葛川
大道1929.12.2中野泰蔵13行橋町大道
東町1929.12.14竹下□吉17行橋町行事東町
石田新田1929.12.18中村六三郎14行橋町仝支部内
下正路1929.12.22天野無津次28行橋町下正路
下久保1930.1.8村上稲□郎6久保村下久保
徳永1930.1.24鞘野□治9祓郷村徳永
流末1930.1.15繁永重太郎14今川村流末
呰見1930.1.24池上治郎作19祓郷村徳永
沓尾1930.2.1大川秀松16今元村沓尾
徳永1930.4.1森本正一14椿市村徳永
長木1930.4.25城本□太16延永村長木
白石1930.9.5大川秀松6小波瀬村白石
馬場1931.3.12原田政市14仲津村馬場
川島1931.5.25永部伴次15行橋町川島
平島1932.1.4竹本市太郎13泉村平島
稲童1932.1.8城戸清32仲津村稲童
大熊1932.1.15金子音吉18犀川村大熊
出典:旧協調会福岡出張所「昭和八年中福岡地方農民組合の情勢別表福岡県下農民組合一覧」
法政大学大原社会問題研究所所蔵より、□は判読不明

 丸山は、全農福佐の有力幹部石田樹心とは旧知の間柄にあり、昭和六年一二月二〇日、全農福佐第四回大会(鳥栖町鳥栖座)で執行委員に選出された(『福岡県史 近代史料編 農民運動(一)』、以下『農民運動(一)』と略記)。
 全農福佐京築地区委員会の主事・高橋武種は、昭和二年、福岡県立豊津中学校(現豊津高校)を卒業後、画家を志して上京し川端画学校に学んだ知識人青年である。高橋は、豊津中の同級生で共産党関西地方委員会キャップ・前田俊彦(戦後の延永村長、個人誌「瓢鰻亭通信」主宰者)の勧誘で共産党に入党し、昭和七年一月頃帰郷、翌年一月三日、全農福佐京築地区委員会を結成した。しかし、高橋はその直後、二月一一日の第一次九州共産党事件(二・一一事件)で、大森潤二、松田正吉ら京都郡在住者と共に治安維持法違反で検挙・起訴され、土手町刑務所に収監された(「特高月報」一九三三年七月)。その後、全農福佐京築地区委員会の主事には、全農総本部派から転じた石生隆光が就任した。