昭和八年夏頃より全国的に高揚する高松結婚差別裁判糺弾闘争は、京都郡の水平運動を活性化させた。全農福岡県連委員長で全国水平社九州連合会(全水九連)組織宣伝部委員であった田原春次は、同年八月二六日香川県部落民大会(高松)での演説を皮切りに、八月二八日全国部落代表者会議(大阪)で「部落在郷軍人会並びに青年団組織の件」提案、八月二九日差別糺弾闘争全国委員会(大阪)で「ナチスのユダヤ民族圧迫に対する抗議の件」起草、九月二五日差別裁判取消請願行進隊激励演説会(福岡)で演説、一〇月七日全農拡大中央委員会(大阪)で「差別裁判糺弾闘争支持応援に関する件」提案と、八面六臂の活躍で高松差別裁判糺弾闘争に精力的に関与した(小正路前掲「部落解放と社会主義」)。
全農福岡県連京築委員会も同年八月、松本治一郎を招いた真相報告会を行橋町で開催して敏感に反応している。