第一期堺利彦農民労働学校は、昭和六年二月一一~二五日の二週間にわたって開催された。授業料は一円または玄米六升五合。開講科目と講師は次のとおりである(小正路淑泰「堺利彦農民労働学校(二)-第一期を中心に-」『部落解放史・ふくおか』109)。
社会主義思想史(堺利彦)、農村経済学(古市春彦)、農民運動史(行政長蔵(ゆきまさちょうぞう))、財政学(岡田宗司)、社会運動史(田原春次)、婦人問題(堺真柄)、プロレタリア文学論(鶴田知也)、唯物史観(落合久生)
第一期学校の講師陣は、(1)労農派-文芸戦線派(堺利彦・真柄、岡田、鶴田)、(2)旧日本労農党系中間派(田原、行政)、(3)旧九州民憲党(古市)、(4)在地農村青年(落合)の四グループに大別できる。労農派-文芸戦線派が中心となりながら、旧日本労農党(日労党)系中間派と浅原健三派(旧九州民憲党=全大党八幡支部)がそれに提携するという構図である。全大党京築支部は、学校開校を契機に農村部進出の意欲を持つ浅原派との提携を強めていった。