明治二二年二月、大日本帝国憲法が発布され、続いて軍人山県有朋内閣が誕生すると、教育にも絶対的権力を示し、教育に関する勅語を企画した。これが明治二三年一〇月三〇日に発布された「教育勅語」である。これは天皇の言葉であり、その内容は徳育を重視する忠君愛国の教育思想で貫かれている。
政府はこの教育勅語を全国の学校に配布。各学校は、校地内に「奉安殿」を建設し、天皇・皇后の写真(「御真影」)と教育勅語を祀った。
その後「小学校祝日大祭日儀式規定」が示され、これを受けて、各学校では、
元始祭(一月一日)
紀元節(二月一一日)
天長節(四月二九日)
明治節(一一月三日)
などの厳粛な儀式を行った。
儀式が始まると、教頭が奉安殿より黒箱に収めた教育勅語を頭上高く持ち運び、それを壇上に立つ学校長に渡す。学校長はそれを恭しく朗読し、全枚生徒と教師は全員直立不動で頭を垂れて、それを聴いた。