橋本雅邦
「龍虎図」(りゅうこず) 波しぶきが上がる岸壁に立つ虎と、黒々と立ち込める雲の中でとぐろを巻く龍が、にらみ合うように描かれています。切り立った崖と波、虎と龍が対角線の構図を成し、緊迫感を生んでいます。
橋本雅邦(1835-1908)は、川越藩御用絵師の家に生まれ狩野派に学んだのち、西洋絵画の表現技法を取り入れた新しい「日本画」の創造を目指しました。明治33年(1900)のパリ万国博覧会では『龍虎図』を出品し、銀牌を受賞しています(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)。本作はそれとほぼ同じ構図、サイズですが、和紙に描かれていることなどから習作だと考えられています。
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