読み下し

土方歳三書簡 『文久四年甲子異聞録 巻之七』所収

原本画像を見る

目録を見る 目録を見る

甚寒之節に候得共、愈御堅勝成られ御座候、恐悦奉り候、随て当方一同
異なり無く罷り在り候間、御安意思し召し下され候、一、常野の浮浪の者共、
上京ニ付一橋殿、初メ京都より一万人程出張仕り候、依て濃州路より
北国廻り越前路迄罷り越し候、右に付当局の儀は京都四ツ塚
御門御固メに向かい同所、  御所内御固メ 仰せられ候、依ては
冥加の至りに存じ候得共人少く儀、誠に差し支え申し候、四ツ塚の儀は
近々内、佐竹人数と交代相成候様と仰せられ候間、右様相成り候はば、
大に大悦仕り候、二に小子義へ此度改めて肥後守殿より副長役
仰せ付けられ誠に、行(おこない)に及ばず事に付、甚だ心配罷り在り候、
一、当時にては京都相守り候士と申し候は会津、桑名、見廻り(組)、
新撰組、右四家位の事に御座候、尤も外藩は小々は罷り在り
候得共、御用にも相成らず候、依ては  大将軍様一日も早々
御上京相成らず候ては、誠に天下道これ無き様相成るべくと日々心労
仕り候、此儀御賢察下さるべく候、○局行軍之図貴覧に入れ奉り候、
先は右申し上げ度此の如く御座候、恐々不備
  十二月十五日                   𡈽方歳三
     佐藤兄君
 
 尚々寒気の御障りこれ無き様致し度候、御一同よろしく申し上げられ候、
 はした向五右衛門老人え兄よりよろしく願上げ奉り候、頓首