読み下し

宮川信吉書簡

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新春の御吉亀承〓(啓)清祥萬
福の至り珎重々々御機嫌克(よ)く御揃い御
超歳の段欣然の至りに南山奉り候時に
私も異なり無く相暮し候恐れながら御安意成し下され
度願上奉り候且又昨冬中ハ御高書成し下され
有難き仕合三誦三歎至(致)し候当時ハ京摂
の間にても別して変事も更に之無く候間関
東ハ如何に御座候哉景(影)ながら相思い居り候
此度先生始め其外三人斗り藝州迄御用
に付出張に相成候是も殊に依てハ長州辺
迄行かれ候傾きかも相知れ申さず過ル廿七日の朝
京発に相成候 公辺よりハ永井公并びに
閣老も西下に相成候右の段御承知
              下さる可く候
昨年中より疫癘にて犇(ひし)と床臥至し居り候所
当春に相成候て全快の気に相成候間
御悦び成し下され度是又願上候御高書の内
貞一郎も痼疾の眼病全快に趣候様子に
之有り景ながら大悦至し候此後ハ必々御保
養専一と至さる可く候局中沖田井上土方
三君も無事にて新春を相迎候御悦びの程
偏に願上奉り候病後にて筆を弄び候事至て
懶敷(わずらわしく)御座候大略斗り相認め指上候
縷々の所ハ後便の節述ぶ可く候草々不備
 
           宮川信吉
 正月廿八日
 
 音五郎様