| 『山下水』の示す作者名 | 出 典 | 構 成 |
|---|---|---|
| 1 男神 | 日本書紀巻第一 | 和歌の始め |
| 2 女神 | 日本書紀巻第一 | 和歌の始め |
| 3 したてる媛 | 日本書紀巻第二 | 和歌の始め |
| 4 また(したてる媛) | 日本書紀巻第二 | 和歌の始め |
| 5 すさのをのみこと | 古今仮名序 | 和歌の始め |
| 6 王仁 | 古今仮名序 | 歌の父母・六義 |
| 7 うねめ | 古今仮名序 | 歌の父母 |
| 8 ― | 古今仮名序 | 六義 |
| 9 ― | 古今仮名序 | 六義 |
| 10 ― | 古今仮名序 | 六義 |
| 11 ― | 古今仮名序 | 六義 |
| 12 ― | 古今仮名序 | 六義 |
| 13 ならのみかと | 古今仮名序 | 和歌普及の始め |
| 14 柿本人丸 | 古今仮名序 | 二聖 |
| 15 山邊赤人 | 古今仮名序 | 二聖 |
| 16 僧正遍昭 | 古今仮名序 | 六歌仙 |
| 17 在原業平 | 古今仮名序 | 六歌仙 |
| 18 文屋康秀 | 古今・春上・八 | 六歌仙 |
| 19 喜撰法師 | 古今仮名序(雑下・九八三) | 六歌仙 |
| 20 小野小町 | 古今仮名序 | 六歌仙 |
| 21 そとおり媛 | 古今仮名序 | 小町の流れ |
| 22 大伴黒主 | 古今仮名序 | 六歌仙 |
| 23 紀友則 | 古今・春上・一三 | 古今集撰者 |
| 24 貫之 | 古今・離別・四〇四 | 古今集撰者 |
| 25 みつね | 古今・春上・四一 | 古今集撰者 |
| 26 忠峯 | 古今・恋三・六二五 | 古今集撰者 |
| 27 元方 | 古今・春上・一 | 巻頭歌 |
| 28 つらゆき | 古今・春上・二 | 巻頭歌 |
| 29 よみひとしらす | 古今・春上・二九 | 三鳥 |
| 30 (よみひとしらす) | 古今・秋上・二〇八 | 三鳥 |
| 31 業平朝臣 | 古今・羈旅・四一一 | 三鳥 |
| 32 紀のとものり | 古今・物名・四三一 | 三木 |
| 33 ふかやふ | 古今・物名・四四九 | 三木 |
| 34 としはる | 古今・物名・四五〇 | 三木 |
| 35 讀ひとしらす | 古今・恋一・四六九 | 序詞・掛詞 |
| 36 (讀ひとしらす) | 古今・恋一・五四四 | 序詞・掛詞 |
| 37 (讀ひとしらす) | 古今・恋三・六三四 | 序詞・掛詞 |
| 38 (讀ひとしらす) | 古今・恋五・八二八 | 序詞・掛詞 |
| 39 よみひとしらす | 古今・雑下・九八一 | 〈連続〉 |
| 40 (よみひとしらす) | 古今・雑下・九八二 | 〈連続〉 |
| 41 (よみひとしらす) | 古今・雑下・九八四 | 〈連続〉 |
| 42 良峯宗貞 | 古今・雑下・九八五 | 〈連続〉 |
| 43 二条 | 古今・雑下・九八六 | 〈連続〉 |
| 44 よみ人しらす | 古今・雑下・九八七 | 〈連続〉 |
| 45 (よみ人しらす) | 古今・雑下・九八八 | 〈連続〉 |
| 46 (よみ人しらす) | 古今・雑下・九八九 | 〈連続〉 |
| 47 藤原敏行朝臣 | 古今・東歌・一一〇〇 | 巻末歌 |
全体的には、表中に破線で示したように、前半・後半の二部構成になっている。冒頭には、跋文に「神歌に始て」とあるごとく『日本書紀』にみえる伊奘諾尊・伊奘冉尊の歌が置かれる。但し「男神」「女神」とその後の「したてる媛」は、歌は示されないものの『古今和歌集』仮名序にその名がみえている。4番歌以降は仮名序にしたがって六義の歌などが配され、やはり跋文にいう「二聖六哥仙」の歌まで続く。その後は『古今和歌集』撰者の歌が配されている。
続く後半部分には、27・28番歌の『古今和歌集』巻頭歌と、47番歌の巻末歌にはさまれる形で、三群のまとまりが指摘できる。①29~31番歌・32~34番歌は、古今伝授の主要項目の一つである三鳥・三木の歌。②35~38番歌は、序詞・掛詞の例として挙げられたと思われる。(7)38番歌直後に「喜せん法師我いほはの哥は前に見えたり」とするのは19番歌「しかそすむ」の部分の掛詞を例として挙げる意図を示すのであろう。③39~46番歌は、『古今和歌集』・雑下に連続して所収される歌である。40番歌と41番歌の間の不連続は、古今・雑下・九八三の喜撰法師歌が既に19番歌として挙げられているため、省略されたものと思われる。但し、①②群と比較して、この③群を撰んだ意図は明確ではない。
このように『山下水』前半は、ほぼ『古今和歌集』仮名序に基づき、和歌の始めや六義を示す歌、代表的歌人の歌で構成される。後半は、巻頭・巻末歌を配して『古今和歌集』全体を視野に入れつつ、解釈上留意すべき歌群で構成しているようである。