解題・説明
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この書簡の宛名の小島御老母は、小島鹿之助の母きくで年令は五十七歳である。万延元年十月二十四日夜に風邪で寝込み、翌日小野路村富田屋へ葛根湯五服と保命丹を買いに行った。その後多くの医者にかかったが、風邪がこじれた。この話を耳にした土方歳三が薬の斡旋をしたのが、本書簡である。 「先日お話をした薬を見本として差し上げましたが、服用されて様子が宜しければ、手紙でお知らせいただければ早々に取り寄せお届けいたします。なお、薬の服用については、一回の分を三日くらいにて服用下さい。一度にあまり沢山飲むのはよくありません。なお伯父君(きくの配偶者角左衛門)にもよろしくお伝えください。」 本書簡は、現在残っている書簡中もっとも古いもので、歳三が二十六歳の時のもので、女性にたいしてやさしい心使いをしていたことが分かる。
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