解題・説明
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武蔵国多摩郡府中新宿の松本捨五郎(捨助)は、文久三年十二月十二日夜、京都より帰宅した。そして佐藤彦五郎宅へ挨拶に行った。佐藤は小島家にその様子を伝えてきた。近藤勇と土方歳三から橋本道助の結婚祝いの手紙と白銀三枚を松本が預かってきたこと。近藤は陣中にて折れ、また刃こぼれがあり、生血をつけたままの刀を近藤留守宅に届けるという。鹿之助が江戸に出かけていたので、鹿之助の父角左衛門は、「鹿之助帰宅次第拝見に伺うので、しばらく刀は佐藤家に留めてほしい」と使者に伝えた。そして、鹿之助が書いた絵が、この異聞録の資料である。刀は三振あり、真ん中の刀が山南敬助の刀である。岩木升屋へ乱入の浪士を打ち取ったときに折れたもので、会津公より御褒美として金八両を拝領したと記している。刀の銘は摂州住人赤心沖光作とある。今まで、摂州住人赤心沖光という作者は不明といわれていたが、新選組研究家の清水隆氏がその刀があることを発見した。
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