中村家旧蔵文書一括

  • 【文化財】昭島市指定有形文化財(令和4年3月24日指定)
  • 【所在地】東京都昭島市つつじが丘3-3-15
  • (保管:昭島市郷土資料室-2008.4.7中村家より寄贈)
旧拝島村エリア 近世の記憶

中村家は、昭島市大神町に江戸時代以来居を構え、江戸中期以降の当主は、嘉右衛門、半左衛門を襲名し、代々大神村のうち旗本土岐氏知行地の名主を勤め、明治以降は、戸長、村長などを歴任、また、豪農、文化人としてもつとに知られた旧家である。

本文書群は、このような中村家に伝来した近世・近代の文書・記録類で、総数は、およそ1600点である。その一部は昭和50年(1975)に発見され、昭島市史編纂に供されたが、大半は、その発刊後に所在が確認され、昭島市教育委員会によって調査が進められ、平成12年(2000)に目録化を終え、その全貌が明らかになったものである。その後、平成20年(2008)、管理者より昭島市教育委員会に寄贈された。

寛文七年(1667)の大神村検地帳を最古とし、以降昭和初期に至る文書群であるが、江戸後期から明治後期までの文書が大半を占める。内容は、大神村の名主・戸長役筋文書が多く、とりわけ前述の大神村検地帳、寛文期以降の江戸時代を通じての大神村土岐氏領年貢割付状、安政六年(1859)の多摩川大洪水、いわゆる「未年の大水」の大神村ほか周辺村落の被害状況を伝える文書、大神村を含む市域九ヶ村の明治13年(1880)「皇国地誌」写など、注目すべき史料が多い。ほかに中村家の豪農経営、家事、文化活動などに関する私的文書も多く、全体として江戸・明治時代にわたる大神村内外の支配行政、村況、社会情勢、文化活動など、さまざまな歴史を伝える貴重な地域史料群といえる。