現在では林ノ上公園や市立緑会館になっている遺跡は、今から約1万年前の縄文時代早期のもので、これまでに市域で発見された遺跡では最も古いものです。旧拝島村の字名にちなみ、林ノ上遺跡と名付けられました。
この遺跡は戦前の昭和16年(1941)に発見され、その後、多摩地区では最初の学術調査として昭和22年(1947)から調査が行われました。当時、この遺跡が日本で最古の土器を出す遺跡として注目されたためです。発見された土器は当初、「拝島式」と呼ばれました。その後、夏島貝塚(神奈川県横須賀市)などの調査が進み、拝島式の内容も次第に明らかになり、現在では「夏島式」と命名されています。
林ノ上遺跡は、これまで11次にわたって発掘調査が行われており、地表下50~70センチメートルから竪穴遺構や撚糸文系土器[注1]、石器などの貴重な遺物が多数発見されています。
[注1] 撚糸文系土器(よりいともんけいどき) …… 関東地方の早期縄文式器の前半の一群をなし、撚糸を軸に巻いて回転押捺された土器。