仁王門内の両側に並ぶ一対の立像です。昭和50年(1975)からの解体修理で像内から墨書銘が発見され、製作年代は右側の阿形像が正和3年(1314)、左側の吽形像は同4年(1315)と判明。また、製作者はそれぞれ肥前房と備前□信造□であり、『新編武蔵風土記稿』[注1]にあった鎌倉仏師運慶は誤りであったことがわかりました。
ともに、鎌倉時代の金剛力士像のなかでは穏和なものであり、旧武蔵国内[注2]では珍重すべき遺作です。
[注1] 新編武蔵風土記稿 …… 江戸幕府が編纂した武蔵国の地誌。天保1(1830)年将軍に献上されたが刊行には至らず。多摩郡の部は八王子千人同心が編纂。明治以降、数種の刊行がなされた。
[注2] 武蔵国 …… 現在の東京都・埼玉県の全域と神奈川県の東部。