室町時代末期、北条氏の重臣であった石川土佐守が大日堂に娘おねいの眼病平癒を祈り、日夜この井戸の清水で洗顔したら治ったとの言い伝えがあります。その後、土佐守はお礼に古いお堂を建て直し、また、滝山城[注1]の鬼門除[注2]として、新しく一山(大日)八坊を建立したとも伝えられています。
古くは「お鉢の井戸」「お玉の井戸」とも呼ばれ、井戸端には不動明王が鎮座しています。
[注1] 滝山城 …… 大永元年(1521)大石定重によって築かれた城。のちに北条氏照が城主となり多摩一円を支配した。
[注2] 鬼門除 …… 鬼門は北東(丑と寅の間)の方位で、鬼が出入りする方角のため万事に忌むべきとされる。鬼門除けとは、その鬼門封じのために神仏を奉り、災難を避けること。