その他の注記
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「ともしび」は1959(昭和34)年4月から放送されたNHKラジオドラマの原作で、秋田県農村部出身の少年少女が中学卒業後に集団就職で上京し、厳しい状況の下、住み込み労働を強いられる実態を、少年少女の会話や職場訪問をする中学校教員等の目を通して描いたものである。17、18、19回までの原稿と、構想段階で書かれたと思われる創作ノート1冊がある。創作ノートの表紙には「ともしび」と記され、主立った登場人物氏名及び簡単な設定と、おおまかな展開がメモされている。中でも病気をした少年を援助することを目的とした「ともしびの会」が広がり、後半盛り上がっていくとある点が興味深い。原稿は、中学校教員である村木健三が秋田に戻ってからの内容である。教え子の兄が警察沙汰を引き起こしたものの、村木健三が身元を引き受ける条件で警察署でも穏便に取り計らってくれたこと、その夜、教え子の妹が急性盲腸炎になり、村の診療所まで運び込んだこと、東京で就職することを尻込みする少年を数日かけて心を開かせたことなどが書き綴られている。なお、NHK放送博物館には第一話から第十七話までの放送台本が保存されているとのことである。
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