『筑前国産物絵図帳』(計2冊)には、丹羽正伯の指示に従って、135項目について128枚の彩色図が納めてあり、各図の後に「謂れ書」の説明文が添えられています。また、「委細注書」の説明文のみを求められた8項目については、項目名の下に「無図」と書かれています。 中には、「のむす」のように複数の絵があるものや、「さねとり虫」と「根むし」のように1枚の絵に2種を一諸に描いているものもあります。図は主に半面に描かれていますが、「いすゞ」では全面を使っていて目を引きます。また、貝類の「ふせ」や陸虫の多くは、生態のわかる背景も一緒に描かれ、「生写」の工夫の跡がうかがえます。 図版の作成に当たったのは、小方仁兵衛・小森平太夫・吉田六右衛門の3名です。