解題・説明
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美並村粥川に鎮座する星宮(ほしのみや)神社のことで、瓢ヶ岳(ふくべがたけ)の鬼退治の伝説にちなむ六所権現社のうちの一社である。村上天皇の天暦年中(947~57)に粥川西峰に悪鬼が住み、里人は恐れ逃げ去った。天皇は藤原高光に退治を命じ、高光は早速退治し帰京した。ところがその後悪鬼の亡霊が迷い出て以前にもまして里人を悩ませた。再び高光が退治する際に元より信仰していた虚空蔵菩薩に祈り、数十丈もある大鳥を射とめたとされる。『美濃国神明帳』の「雄角明神」が当社と比定され、虚空蔵菩薩が神体とされている。粥川寺は以前は真言宗無本寺であり、山岳修験者の去来も多く、星神信仰の一面も伝えていた。現在は円空ふるさと館として立て替えられている。(石田正之輔、高橋教雄、寺田敬蔵『復刻 郡上郷土史料・解説』郷土出版社 1992年 による)
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