解題・説明
|
『蝦夷国風図絵屛風』(アイヌ民族博物館)や『アイヌ風俗絵巻』(國學院大学図書館)などのような小玉貞良作品を模写したものであろう。本作の前から三分の二ほどのところに『右蝦夷国風図絵』からはじまる添書があり「田仲慶子/安永六丁酉卯花月 謹誌/田雪江亭/謹画/天明三癸卯霜降月藤 芝川/謹写」とある。また巻末に「右蝦夷国風図会風俗志者於松前藩/中而比良野氏所蔵而植田仲慶子写/之為蔵本今般示需植田氏而模写傍/以朱書者新井白石先生之蝦夷志抜萃/而永為家蔵書者也/天明第四葵卯仲冬/加藤義繁謹誌」とあることから、松前藩の比良野氏の所蔵本を安永6年に田仲慶子が詞を、田雪江亭が絵を写したものがあり、天明3年に藤芝川がその模写を行った。そしてそれをさらに天明4年に加藤義繁が写した際に、新井白石の『蝦夷志』の抜粋を書き足したものであることがわかる。
|