解題・説明
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アイヌの五弦琴(トンコリ)について描いたもの。トンコリは画面中央の図のように肩に立てかけて演奏する楽器で、五弦が一般的だが、三弦や六弦のものもある。この作品を描いた西園主人は、本名を渋江長伯という幕府の医者であり、本草学に長じて巣鴨御薬園の管理もしていた。寛政11年(1799)蝦夷地の薬草の採集を命じられ、3月から9月にかけて蝦夷に赴く。このときことは『東游奇勝』と呼ばれる日記に記録されている。巻末には文化4年(1807)成島司直による跋文がある。成島司直(1778-1862)は字を邦之、東岳と号し、幕臣で漢学者。
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