解題・説明
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津軽の三厩から松前、箱館そして東蝦夷地の厚別、根室、西蝦夷地の瀬棚、余市などの海岸沿いの景観を描いている。本作の特徴として運上屋あるいは会所を描いていることが上げられる。運上屋はアイヌとの交易の為に建てられた建物のこと。当初は松前藩とアイヌの交易場所であったが、やがて商人による経営に変わった。寛政11年(1799)の幕府直轄以降、東蝦夷地では会所と呼ばれるようになった。運上屋は蝦夷各地の交易・漁業・宿泊などの拠点となって栄えたが、明治以降しだいに衰退し、現在では下ヨイチ運上屋の建物が重要文化財として指定されているだけである。巻末に「津軽領松前并東西蝦夷地絶景難所略図」とある。
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